ヨドコウ迎賓館
(旧山邑家住宅)

※現在保存修理工事のため閉館中
◆開館日
 毎 土・日・水曜日と祝日
◆開館時間
 10:00〜16:00
 (入館は〜15:30)
◆入館料
 大人・大学生は500円
 小・中・高校生は200円
◆所在地
 〒659-0096
 兵庫県芦屋市山手町3-10
◆お問い合わせ
 淀川製鋼所 PRグループ
 TEL:06-6245-9103
 ヨドコウ迎賓館
 TEL:0797-38-1720

建物概要

国指定重要文化財
設計:フランク・ロイド・ライト
実施設計・施工監理:遠藤新・南信
設計年:1918年
竣工年:1924年
構造:鉄筋コンクリート
敷地面積:約5,200
建物面積:約359.1
延べ床面積:約542.43

links

フランク・ロイド・ライトツアー vol.2

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    ライト建築ツアーの見学が終了しました。

    最終日の朝は早めに起きて、まずホテルから10分程度のところにあるセントラル・パークを散歩してきました。

     

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    写真はセントラル・パークからの景色です。

    ニューヨークは地盤が固く、高層ビルの建築に適しているそうで、密集する高層ビル群は壮観です。

     

    そして、ニューヨーク市街から約1時間移動した森の中に建つ、ライズリー邸です。

     

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    ライトの後期に多く建てられた「ユーソニアンハウス」といわれる、手ごろな価格でコンパクトに作られながらも、デザイン性・機能性に優れた住宅です。

     

    オーナーのライズリー様から直接説明していただくことができ、とても有意義で楽しい時間でした。ライズリー様は、当館にも2000年頃にご見学に来られたことがあるそうです。

     

    そしてニューヨーク市街に戻り、グッゲンハイム美術館。

     

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    三方を四角いビルに囲まれた中でらせん状のデザインが一段と目を引き、建物の中はとても開放的でした。

    展示する美術品以上に美術館が目立ってしまう、といわれる建物です。

     

    以上で、ライト建築の見学は終了です。

    最後に、グッゲンハイム美術館からほど近いニューヨーク近代美術館(MoMA)で開催されている、ライトの生誕150年を記念した展示を見学してきました。

     

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    会場内には、数多くの図面やスケッチ・模型などが展示されていました。

    ライトが日本に遺した帝国ホテルや自由学園明日館の図面などの展示もあり、改めて、ライトの手による当館の図面が今に残っていないことを残念に思いました。

     

    そして、近くのブロードウェイにも足を伸ばしてみました。

     

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    今回のツアーは大変盛りだくさんでしたので、帰国してから資料や頭の中を十分整理する必要がありそうです。

    文化財の保存や活用についても参考になりましたので、今後に生かしていきたいと思います。

     

    このブログでは、引き続き修理工事の進捗状況やライトにまつわる情報などをお知らせしますので、またアクセスしてみてください。ツアーについても改めてご紹介します。

     

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    フランク・ロイド・ライトツアー

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      こんにちは、館長の岩井です。
      ライト建築を巡るツアーに参加することになり、今アメリカにいます。

       

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      建物の見学は実質5日間で、残すところあと1日になってしまいましたが、今まで訪問したところを簡単にご紹介します。


      先ずはタリアセン・イーストです。

       

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      「タリアセン」は、ウィスコンシン州スプリンググリーンにあるライトの自邸の名称ですが、ウェールズ語で“輝く眉“を意味するそうです。
      丘の頂ではなく、少し下がった位置に建てられています。

       


      次は「ユニタリアン・ミーティング・ハウス」です。
      この外観は、祈る人の合掌している手を表しているそうです。

       

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      「アメリカン・システム・アパートメント」です。
      ライトはプレハブ住宅も設計しており、ミルウォーキーの住宅街の一画に6棟並んでいます。

       

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      ちなみに道中、バスから撮影した住宅です。

      テレビドラマで見たような景色でした。

       

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      「ジョンソン・ワックス・ビル」です。
      研究棟は管の形をしたガラスとレンガでできています。
      事務所棟はキノコのような形の柱が有名ですが、残念ながら撮影禁止でした。
      写真で見たよりかなり明るく解放感のある空間でした。

       

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      この後オークパークに移動して、ライトの初期の作品を外観だけですが見学しました。
      写真はライトがサリバンの事務所から独立して世に出るきっかけとなった「ウィンズロー邸」です。

       

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      途中「ユニティ・テンプル」の外観をバスから見学。
      修理のため公開はされていませんでしたが、ほぼ工事は終了して、もうすぐ再公開されるそうです。

       

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      そして「ライトの自邸(Home & Studio)」です。

       

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      次が、プレイリーハウス(草原住宅)の代表作と言われる「ロビー邸」です。

       


      ピッツバーグに移動して、いよいよライトの最高傑作「カウフマン邸(Falling Water)」です。

       


      次回は、最終日の訪問先をご紹介します。

      詳しい内容は、後日改めてご紹介出来れば、と考えています。
      それでは、お楽しみに。

       

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      大谷石について

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        フランク・ロイド・ライトが手掛けた日本の業績で共通する特徴の一つに、「大谷石(おおやいし)」があります。

         

        外装材として使われることが多い大谷石を、内装にも取り入れたのはライトが初めてだと言われています。

        当館でも外装材としてだけではなく、館内の暖炉や柱、階段などに使用されていて、それぞれに幾何学的な彫刻が施されています。

         

        応接室の暖炉や柱に使用されている大谷石

         

        今回は、この大谷石についてご紹介します。


        大谷石の産地は、栃木県宇都宮市大谷町。
        まだ日本が海の底だった時代に、海底火山の噴火により噴出した火山灰などが海中に堆積し、長い年月をかけて固まってできた“凝灰岩”の一種です。

         

        石の特徴としては、多孔質で軽くて軟らかく加工に適しています。
        中にはミソと呼ばれる粘土質で茶褐色の部分があり、ここが時の経過と共に空洞化し、独特の暖かみのある風合いを作り出します。

        また、耐火性に優れていることから、主に石造りの蔵の外壁や石塀などに多く使用されてきました。

         

        大谷石・茶色の箇所がミソ

         

        ミソ部分が空洞になった大谷石の柱

         

        その利用の歴史は古く、縄文時代にまで遡ります。
        本格的な採掘が始まったのは江戸時代の中頃。それまでは農業の合間に採掘されることが多かったようですが、この頃には専門の職人が現れました。
        明治時代には交通機関の発達と共に、関東を中心に全国へと出荷されるようになったそうです。


        ライトは、帝国ホテルに使用する石として、最初は石川県で採掘される菩提石(蜂の巣石)を考えたようです。ところが産出量が少ないために断念して、代わりに大谷石が選ばれました。温かみのある風合いと彫刻を施しやすい軟らかさをお気に召したようです。

         

        菩提石(蜂の巣石)

         

        帝国ホテルでは大量の大谷石が必要になるため、ライトの下で帝国ホテルの建築に携わっていたアントニン・レーモンドと内山隈三が宇都宮に出向いてひと山購入しました。今でもその山は“ホテル山”と呼ばれて残っています。

        (アントニン・レーモンドについてはこちらのブログでも紹介しています)

         

        余談ですが、帝国ホテルで使用されたレンガには愛知県知多半島の粘土が採用され、常滑に「帝国ホテル煉瓦製作所」という帝国ホテル専用の会社が設立されました。そこで技術顧問をしていた方が、ホテル竣工後に設備と従業員を引き継いで会社を興しました。それが伊奈製陶株式会社で、後の株式会社INAX、現・株式会社LIXILです。
        どちらもスケールが大きい話ですね。

         

        大谷町・ホテル山

         

        大谷町には、大谷資料館という昔の採掘現場を見学できる施設があります。

        地下に約2万平方メートルの巨大空間が広がり、ライトアップなどの演出もあってとても幻想的です。

        坑内の平均気温は8℃前後で、今年の1月に訪問した際は3℃でしたが、寒さを忘れるほどの迫力でした。

         

         

         


        大谷町周辺には、大谷石を使用した建物や蔵がたくさんあり、採掘現場や採掘されて切り立った崖のようになった山が続き、独特の風景が広がります。
        近くに行かれる際には、立ち寄られてみてはいかがでしょうか?

         

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        ヨドコウ迎賓館設計の経緯

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          当館は大正7年に灘の酒造家、八代目山邑太左衛門の別邸として設計されました。

          今回は、フランク・ロイド・ライトがこの建物を設計した経緯についてご紹介します。


          ライトの日本での業績は、東京に帝国ホテル・林愛作邸・自由学園明日館、神奈川県に福原有信邸、そして兵庫県に山邑太左衛門邸となっていて、山邑邸以外は全て関東です。
          一軒だけ関西にポツンとありますので、不思議に思われる方がいらっしゃるようで、時々ご質問をいただきます。

           

          ヨドコウ迎賓館

           

          さてその経緯ですが、山邑太左衛門の長女のご主人である星島二郎(ほししま にろう)が仲介役となったようです。

          星島二郎は東京帝国大学卒業後、弁護士の傍ら犬養毅の秘書として政治を学び、後に政界入りして衆議院議長を務めた人物です。

           

          星島二郎

          東京帝国大学在学中に、同じ大学で建築を学んでいた遠藤新と基督教青年会館で知り合い親友になりました。

          余談ではありますが、遠藤新の奥さまは星島二郎が紹介したそうです。二人の仲の良さを感じさせるエピソードですね。

           

          星島二郎は舅である山邑太左衛門から別邸建築の相談を受け、当時帝国ホテルの建築に携わっていた遠藤新を通じてライトに設計を依頼することにしました。二人で一緒にライトの事務所を訪問したそうです。
          設計の依頼を受けたライトは芦屋を訪れ、「芦屋川と芦屋浜の見えるあの丘に大変興味を持ち、自ら設計を引き受けてくれた」と星島二郎が後に語っています。


          以前にこのブログでも遠藤新がライトに出会った経緯をお伝えしましたが、その縁が遠藤新の親友・星島二郎、星島二郎の舅・山邑太左衛門と繋がって、この芦屋での設計に至ったというわけです。人の縁というものは不思議なものですね。

           

           

          ライトの日本での業績は、福原有信邸は関東大震災の被害で取り壊され、帝国ホテルは不同沈下や雨漏りなどのために解体されてエントランス部分のみ明治村に移設され、林愛作邸はほとんど改築されて当時の姿を残すのは1室だけとなっています。

          現在、建築当初の姿をほぼそのまま留めているのは、当館と東京・池袋にある自由学園明日館だけになってしまいました。


          ライトの建物が、たまたま関東と関西に一つずつ残ったわけですが、考えたらこれは大変意義のある事かもしれません。
          大きな災害があっても、どちらかが残る確率は高くなりますし、見学という面においても、幅広い地域の方にご覧いただきやすくなります。
          また、当館はライトの業績では数少ないシェルター型の住宅で、明日館は逆に代表的なプレイリースタイルの学校建築です。このように全くタイプの異なる建物が残ったことも、ライト建築の多様性の一端に触れることができて幸運なことだったのではないでしょうか。

           

          自由学園明日館

          【自由学園明日館】

          プレイリースタイルとは、ライトが考案した、アメリカの広大な草原と一体となるよう、緩やかな勾配の屋根と水平方向に伸びた深い軒で構成された住宅様式のことです。

           

          ヨドコウ迎賓館 俯瞰

          【ヨドコウ迎賓館】

          プレイリースタイルとは異なり、避暑を目的としたシェルター型の鉄筋コンクリート造の住宅建築。

          ライトが訪れた日は夏の暑い日だったことから、芦屋を亜熱帯地域だと理解して設計したと考えられています。

           

          ただいま当館は保存修理工事のため閉館しており、約二年間は残念ながらご見学いただくことが出来ませんが、一般公開が再開された際には是非足を運んでいただき、明日館や他のライト建築と見比べてみていただければと思います。

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          コルビュジエ作品が世界遺産に

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            先日、東京・上野にある国立西洋美術館など、ル・コルビュジエが設計した7ヶ国17件の建築作品について、国際記念物遺跡会議(イコモス)が世界文化遺産への登録を勧告した、とのニュースが発表され、これで今年の7月にも正式に世界文化遺産に登録される見通しとなりました。

            ル・コルビュジエ サヴォア邸
            コルビュジエの代表作・サヴォア邸(写真提供:重山建築研究室)

            皆さんご承知の通り、コルビュジエは当館の設計者であるフランク・ロイド・ライトや、ミース・ファン・デル・ローエと共に「近代建築の三大巨匠」と称される建築家です。
            代表作としてはサヴォア邸、ロンシャンの礼拝堂、マルセイユのユニテ・ダビタシオン (すべてフランス) などが挙げられます。
            同じ「三大巨匠」ですが、コルビュジエは“合理性”と“機能性”を追求し、一方ライトは“有機的建築”を標榜して自然との調和を目指しましたので、建築の方向性はかなり異なります。

            以前このブログでもご紹介しましたが、昨年にアメリカにあるライト作品10件も世界遺産に申請されています。
            今回のコルビュジエ建築の世界遺産登録により、改めて近代建築が注目されることになると思いますが、これがライトの世界遺産登録にどのように影響するか気になるところです。

            今回世界遺産に登録される国立西洋美術館は、コルビュジエが日本に残した唯一の作品で、1959(昭和34)年に完成し2007(平成19)年に国の重要文化財に指定されました。
            ピロティと呼ばれる柱で支えられた開放的な空間や自然光を利用した建築様式など、随所にコルビュジエの特徴的な設計が施されています。

            ル・コルビュジエ 国立西洋美術館
            国立西洋美術館

            国立西洋美術館の実施設計・監理は、コルビュジエの日本人弟子である前川國男、坂倉準三、吉阪隆正らが協力して行いました。また、開館20周年を機に建てられた国立西洋美術館の新館は前川國男が設計しています。

            前川國男は、東京帝国大学を卒業後パリでコルビュジエの事務所に入所し、帰国後にレーモンド建築設計事務所に入所しました。
            以前このブログでご紹介しましたが、当館を所有している淀川製鋼所は、1952(昭和27)年に建てた旧本社ビルの設計を、このレーモンド建築設計事務所に依頼しています。(建て替えて現存はしていません)

            アントニン・レーモンド 淀川製鋼所
            淀川製鋼所旧本社ビル

            坂倉準三は、前川國男の紹介でコルビュジエの事務所に入ったそうですが、当館の南にある芦屋市民センター(1969年竣工)は坂倉建築研究所の設計で、やはりコルビュジエ建築の特徴を随所に見ることができます。
            外観もさることながら、三階通路ではどこかコルビュジエ設計のロンシャン礼拝堂を彷彿とさせるような、白い壁面に作品展示用の大小さまざまな形の小窓が設置されています。

            坂倉準三 芦屋市民センター
            坂倉準三 芦屋市民センター
            芦屋市民センター

            フランク・ロイド・ライト ヨドコウ迎賓館

            ここで改めてヨドコウ迎賓館の外観をご覧下さい。
            写真を見てもお分かりいただけるかと思いますが、前述した通り同じ近代建築三大巨匠の作品でもそのデザインは大きく違います。
            是非この機会にコルビュジエ建築とライト建築をどちらも見学していただき、実際に作品の特徴を見比べてみるのも面白いのではないでしょうか。

             
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